瓜いろいろ

30数年前だったと思います。実家が茨城県大洗の漬物屋だという人に「鉄砲漬」というものをお土産にもらいました。白瓜の醤油漬なのでしょうが、瓜をくりぬいた中に紫蘇と唐辛子が入っていて、実に風味の良いものです。さいきん、成田山にお参りしたときも、鹿島神宮に詣でたときも、参道のお店に鉄砲漬があるのを見て、それがこの地方の特産品であることを知りました。

 

だからといって、この辺りのスーパー店頭に白瓜があるわけではありません。時として「ハヤト瓜」や「ハグラ瓜」というのが出ていますが、これはやっかいな代物です。うっかり糠みそに漬けると糠床が水浸しになってしまうほど、水分が多いのです。ともあれ、千葉県東北部から茨城県鹿島地方の地質と風土が瓜の栽培に適していることは昔から分っていたとみえます。ただし、銚子できゅうりを栽培するのは気をつけないといけない。風の強い地域なので、ふつうに添え木仕立てにすると、強風のときに添え木ごとなぎ倒されてしまうからです。だから、どうしても銚子できゅうりを栽培したい人のために、地這いきゅうりという特別な品種があります。

 

さて、いまこの地方で盛んに栽培されているのは同じ瓜科の作物でも単価の高いメロンです。メロンと言えば、ハウス栽培のマスクメロンを連想しがちですが、このあたりのメロンづくりは、露地栽培とハウス栽培の中間的な手法が主なやり方のようです。畑の畝にかまぼこ型のカバーをかけて栽培しています。かまぼこの裾の方が開放されていて、メロンが転がっているのが見えます。品種もいろいろ開発されていて、アンデスメロン、クインシーメロン、タカミ(貴味?)メロン、ミラクルメロンと、それぞれ持ち味を競い合っているようです。

 

各種賞味してみましたが、タカミメロンと言うのはマスクメロンに近くて、かなりいけます。ダンボールに4~5個入ったやつを買ってきて、ご近所に配るとけっこう喜ばれます。ただし、重くてゴロゴロするので、手にぶら下げて電車に乗ったりするのは、あまり嬉しいものではないでしょう。ありがた迷惑と思われてはいけない。これが会社の皆さんにメロンを配らない理由です。

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