10年後の広告はどうなっているか(10)

このテーマをまず設定しておいて、折に触れて考えたことを取り留めもなく書き綴ってきました。やって見ると、自分ではけっこう頭を刺激する結果になり、面白かったのですが、読み手にはつまらなかったかな、と反省しています。このテーマ、まだまだ折に触れて取り上げたいと思いますが、このあたりで、いったん箇条書き風に10年後の広告について予想されることを、ランダムにリストアップしておきます。

 

1)    情報共有感覚の大きいマスメディアが次第に衰退し、広告の社会的なインパクトもそれに伴って低減せざるを得ないでしょう。ひとつの広告キャンペーンが社会現象を捲き起こすようなことは20世紀の語り草、昔話でしかなくなるでしょう。

2)    多くのターゲット人口に到達する媒体計画(広告露出計画)も、大規模調査(媒体接触調査)に基づいたシミュレーションプログラムで静かに実施され、社会的な熱気を伴わないでメッセージが浸透するようになるでしょう。

3)    食品などの低関心商品を、プッシュ型媒体手段で強力に広告する手段はなくなるでしょう。これに伴ってスーパーマーケット等、小売店の店頭の持つ媒体的側面が注目されるようになるでしょう。

4)    社会的インパクトを求めるキャンペーンは、販促的、広報的イベントに解を求めるようになるでしょう。広告代理店で、これまで縁の下の力持ちに甘んじてきた販促マンの地位が上がると思われます。

5)    商品情報の多くは、消費者側が検索してアクセスするものになり、広告主にとって消費者が容易にアクセスできるように情報環境を整えることが重要になるでしょう。

6)    将来も吸引力、訴求力を持ち続ける広告のいくつかの類型を挙げると:-

i)                     男女の愛にまつわる感情を引き出す表現など、人間の本性にアピールするものをもった広告。プッシュ型媒体でなくても、高い注目度を発揮できる。

ii)                   問題解決型商品の広告。ただし、注目するのは当の問題を抱えているターゲット層に限定される。「痔にはボラギノール」というシンギングCMは軽い痔の症状のある人にも訴求力があると思われるが、それは強力なプッシュ型媒体があればこその話である。プッシュ型媒体の無い世界では、痔の治療薬の広告は本来の問題解決型に立ち帰って行くと思われる。

iii)                  ビッグニュース、つまり画期的新商品の告知。

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