広告媒体の細分化

マスメディア、またはマスコミという言葉が一世を風靡した時代が、次第に過去のものとなろうとしています。新聞やテレビに代表される巨大メディアがじわじわと衰退する一方で、ウェブ上のミニコミがおろそかにできない勢力をもつようになってきました。ここで起きていることは、これまで受け手であった情報の消費者が、送り手の役わりを担いつつある、ということにほかなりません。

 

番記者が担当政治家にごちそうになったり、役所ごとに設定された記者クラブで、官庁から流される記事資料を垂れ流している現状では、民主主義にたいするマスコミの貢献度が低いと見做されても致し方ないでしょう。政治や行政にたいするマスコミのチェックが甘いお国柄ということになります。消費者が送り手として登場してくると、政治、行政、それに企業の振る舞いについても、辛口のコメントが大量に流されることになり、それらはネガティブな側面も持ちながら、建設的な貢献を果たしつつあります。

 

一方、広告媒体としての時代の変化はどうなっているのでしょうか。マスコミが隆盛を極めた時代は、広告主や広告マンとってまことにやりやすい時代だった、と言われるようになるのではないでしょうか。マスコミが衰退し、ウェブ上にみんなが情報発信するようになると何が起こるか。それは飛躍的な媒体の細分化となって広告マンを悩ませるでしょう。

 

ミニコミをたくさん使えばマスコミと同じ効果が期待できるかというと、なかなかそうは行かない、というところが問題なのです。とくに大型のブランドマーケティングに関わってくるとたいへんです。マスコミでは一定の費者ターゲット層にたいする到達率と到達回数が、かなりうまくコントロールできたのですが、ミニコミの蓄積ではそうは参りません。一部の層にやたらに到達回数を稼いでみたり、到達回数が上がらないで、広範な層に拡散してしまったりしがちです。

 

ウェブ上の情報活動も、ホームページから、ブログ、さらにはツイッターと、情報発信細分化の速度を速めている現状では、広告業界が開発するであろう媒体計画づくりのコンピュータープログラムも後手後手になるのではないかと、人ごとながら心配になります。

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