知る人ぞ知る、萬屋(まんや)のソバを食べました。利根川河口から10キロ遡ったあたりに、銚子市から旭市に抜ける峠道があります。県道71号。どんどん分け入ると、「道を間違えたかな」と思ったころに猿田神社裏参道の標識。ホッとしてすぐ、ふつうの田舎町のそば屋さんの店構えが見えました。時刻は3時をまわっているのに、かなり大勢の客が入っています。
盛りが良い。座敷で天ざるを食べている人のやつを横目で見ると、山盛りの量が尋常ではない。神田あたりで威張っている店の3倍はありましょうか。そして白い。漂白しない天然の粉で打ったうどんぐらいに白いのです。今日は盛りで行くぞ、と決めているので、そう言うと、天盛りはいかがですか、と奨める。今度おなかを空かせて来るからね、と、今回は心動かされることなく(?)、盛りに固執しました。太打ちの御膳そばの食感はなめらか。おソバの稲庭版とでも言ったら、叱られるでしょうか。おそらく本邦ほかに例を見ないだろう独特のソバを、この峠道の奥で供しているのでした。
ソバは体に良いと言いますが、その大きな理由の一つは、製粉するときに胚芽を分離できないところにある、と言われます。穀物が提供してくれる微量栄養素のほとんどは、胚芽に含まれていることを思えば、これは納得できます。
加工食品は、使用された原材料が多い順にパッケージに記載されていることを知ってから、乾麺のソバを買うときに、気をつけて原材料表示を見るようにしています。ほとんどの商品は、最初に「小麦粉」と書いてあるります。つぎに「ソバ粉」と書いてありますが、何%入っているのか分からない。ソバ粉よりも小麦粉のほうが多いものは、「ソバ粉入りのうどん」と表示すべきではないか、と思ったりします。ソバは健康に良い、と思って食べる人に失礼ではないですか。どうも、話が変な方に行ってしまいました。