自然の恵み

5月20日のこの欄で、カツオのお話をしました。言い訳がましいですが、その後の経緯です。

「カツオが出てきましたね。」

と、銚子の隣のご隠居に言ったら、

「もうちょっと待つと、1本500円になるよ。エラを開けてみて、きれいな赤い色をしたヤツを買うと良いね。」

というので素直に待っていたら、ナント店頭からカツオが消えてしまったのです。会社の皆さんにカツオ・パーティーの話などした手前、ちょっと困りましたね。集団で北の方に回遊しているかも知れないと思い、茨城県那珂湊の魚屋さんに電話してみたところ、

    「カツオねぇ。うーん。日によって分からないねぇ。」

 

どうやらカツオさんたちは、今年は予定を変更してどこか別の海域に行ってしまったらしいのです。その代わり、と言ってはなんですが、カツオの餌食にならなかった連中でしょうか。丸々と太ったイワシがタダのような値段で店頭に出ています。また、銚子地方では今年は何故かメロンが大当たり。週末に訪れるたびに、4個入りの段ボールで買ってきてはご近所に配ることができました。

 

「大自然の恵み」などと言いますが、自然は気まぐれなんですね。都会に暮らしていると、何でもスーパーマーケットに並んでいて、今年は何が豊作だとか、今日は何が大漁だという情報がじかに伝わってきません。田舎(というと叱られるか?)の生活はそうではありません。スーパーマーケット全盛の時代とはいえ、自然の息吹が伝わってくるような食材と、日々ご挨拶しながら生活する楽しみが残っています。

 

これで気がつくのは、われわれの食生活には、市場に行ってその日に収穫または水揚げされた食材を基にその日の献立を考えるという、昔ながらの習慣が根強く残っているらしいことです。何でも揃っている都会のスーパーで買い物する人は、まず、メニューを決めてから足りない食材を手当てすれば良さそうなものです。しかし、まず店頭を見て、その日のお買い得食材によってメニューを決める、という形でマルシェ方式が残っているように思われます。今日は豚肉がたくさん採れたから安くて新鮮、ということはないにしても、少なくともお魚に関する限り、お買い得商品イコール大漁で新鮮な商品、ということが言えるかも知れません。

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