繁盛する「情報持ち寄り勝手連」サイト

若い世代ほど、1日のうちのより多くの時間をインターネットに費やし、テレビや新聞などのマスコミに接する時間が少ないことがはっきりしてきました。この事態に対処するため、マスコミ各社は「旧来のメディアと通信との融合」という形を模索しています。そこにはニューメディアの力を借りて、なんとか新しい時代へ適合したい、そしてマスコミとしての命運を繋ぎ止めたいという願望がありありと見えます。

 

マスコミ各社が試行していることは:-

 

従来のコンテンツをネット上に置き換える。

これまで一方通行だった情報の流れを、ネットを利用してチョイと双方向にする。

さまざまなコンテンツを検索して何時でも見られるようにする。

 

などですが、どうもはかばかしい成果は得られていないようです。

 

いま、ネット上の新しいサイトで繁盛しているものは、編集部とユーザーの双方向の情報のやりとり情報ではなく、ユーザー同士のマルチ方向のやりとり、つまり、「情報持ち寄り勝手連」的なサイトです。先ごろ、この欄で言った「デジタル・クチコミ」がそれに当たります。そこからは、専門家を自称する「プロ」が作る「本格的なつくり物」に疑いの目を注ぎ、素人が「ホラ、こんなの」と言って持ち寄る、表現としては下手くそだけれどもホンモノである情報が好まれていることが見えてきます。

 

ユーザーはホンモノらしくでっち上げられたものに飽きて、ホンモノそのものを求め始めている、と言えないでしょうか。これは日常性のある媒体である新聞、テレビなどの世界の話。映画に目を転じると、おとぎ話の世界では想像を絶する壮大な作り話がユーザーの拍手喝采を受けていることが分ります。ユーザーは、ウソならはっきりとそれと分る大ウソにしてね、と言っているのです。一般マスコミの編集者、制作者の受難の時代はどこまで続くのでしょうか。

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