ビデオ画面がフリーズすることによって、一定の状況、感情などを表現することは、これまでも行われてきましたが、最近では、グラフィック・デザインの方に時間軸が加わり、動きや音がプラスされてきました。と、言うより、表現形態全般に多元化した、と言うべきなのでしょう。平面広告やポスターの絵柄や文字が動く、音が出る。これがデジタル・サイネージの世界です。デジタル技術で、平面デザインの表現は無限の広がりを獲得したと言えましょう。
クリックすると別の画面やサイトに移動する、というのも今ではウェブ上で当たり前のことになっていますが、新しい情報技術であることに違いはありません。そんなことは、当たり前です。そう、ウェブの世界ではね。デジタルの世界ではね。しかし、どうして、それがデジタル・テレビでは出来ないの?それは、それがテレビだからです。つまりテレビは前時代の遺物なのです。と、こうなりはしませんか、心配ですね。
ジョン・フォード監督は、活動写真と呼ばれた動画の世界にグラフィック・デザインの手法を取り入れました。例えば、駅馬車がかなたから疾駆してくる画面の地平線を、黄金分割の線に一致させることに、固執したといわれています。グラフィック・デザインの側から見れば、1939年に活動写真が使ったグラフィックのお返しを、今日デジタル技術でやりました、ということになるのでしょうか。