ITですすむ民主主義の成熟化

国民年金のデータベースが、ひどいことになっているようです。それらしい、と思われる誤りを訂正するために年金特別便とか言って何百万通ものはがきを郵送しています。はがきをもらって、社会保険事務所に出かけていって、漏れを見つけ、もらい損なった年金がすぐもらえるものと思った101歳の人が、9ヶ月待ってももらえないんだって。死んじゃうよって、このことですね。

 

しかし、年金関係は別格のケースで、電子政府と呼ばれる行政のIT化は、着々と進んでいるらしい。2月中ばが所得税申告の締め切りで、国税庁が盛んにウェブで申告することをPRしていました。やがてみんなの所得は、一人一個の納税番号でデータベース化され、脱税のうまみは無くなることでしょう。それを住民基本台帳ネットワークと関連付けることは容易にできるでしょうし、年金データベースともつながるでしょうね。

 

こういったことを行政サービスの効率化という側面から見ることもできますが、それは別の角度から見ると行政による住民管理の徹底ということになり、そこんところが気に入らない人がたくさんいるわけでしょう。別に頼んだわけでもないのに、行政が行政の都合で、住民のデータベース化をどんどん進めているように見えます。

 

それでは、個人の側から見て、政治、行政についての情報を探す、受け取る、あるいは政治や行政にたいして情報を発信することは十分にできているのでしょうか。中央官庁や地方自治体のホームページはかなり充実してきました。政治家も衆参議員は、ほとんどそれぞれのサイトを開いていて、そこに個人が書き込みをすることもできます。しかし、官庁や、内閣府が積極的に国民の声に耳を傾けようとしているふうには見えません。

 

Yahoo!には「みんなの政治、みんなの評価」というページがあって、政治の話題に関連のあるブログにつながったり、メンバーは議員にたいして投稿したり、投稿に対して投票したりできる仕組みになっています。このようなシステムを大新聞やテレビ局はどうして提供しないのだろう、と思ってしまいます。伝統的なワンウェイ情報システムを独占するビジネスモデルを持続したい、と考えて、個人の情報発信から逃げようとしても、時代がそれを許さないでしょう。

 

現状からもう少しすすんで、自宅のパソコンや携帯から国民投票や住民投票ができる、市長さんのリコールのための署名運動もできるようになるには、もう少し時間がかかるでしょう。国民・住民の側から要求しないと、こればかりは行政が提供してくれないでしょうから。それにしても、IT技術が直接民主主義的手法の普及を含め、民主主義の成熟化に大きな力を発揮するのは間違いなさそうです。

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