コマーシャルデザイン社会のホワイトカラーの終焉


A pair of Giuliettas, originally uploaded by Wille Wiglia.

そろそろ読み終わる「自分の仕事をつくる (ちくま文庫) 西村 佳哲」の再掲で申し訳ないですが、大量生産、大量販売でビジネスを行っている企業の依頼によりその経済活動を美的側面から支援する、というのは大戦後の資本主義発展に沿った50年かそこいらのデザイナーの仕事像のようです。
戦前の100年間はデザイナーの仕事とは極めて個人的なアイデアを具体的に世の中に提案する仕事だったそうです。たとえばイームズの椅子のほとんどは誰かに金銭で依頼されて作ったものではないのです。

デザインの国といわれるイタリアの経済は無数の中小企業で成り立っていて、ほとんどがファミリー企業です。ザガートやピニンファリーナなど有名なカロッツェリアのほとんどもファミリー企業ですね。イタリアでは、デザイナーは "プロジェティスタ"と呼ばれることが多く、それは全体を計画し、前へ進めていく人、という意味なのです。
つまりイタリアではいまだにアメリカ型コマーシャルデザインとは別の世界が残っていて、多くのデザイナー仕事の基準が「個人のイマジネーション」に源泉しているのです。 きっとダ・ビンチの時代から脈々とつづいているのでしょう。

大量生産の時代に終わって変動の中で生きていかなければいけない時代にあって、我々知的労働者には本来のデザイナー的な仕事の仕方がますます求められているのだと思います。

Comments are closed.