要石(かなめいし)

利根川をはさんで茨城県側と千葉県側に鎮座する鹿島神宮と香取神宮。その双方の境内に「要石」という石があります。地中に大きなナマズが住み着いて地震をおこしているのを、香取・鹿島両神宮の神さまが地中に深く石棒を差しこみ、大ナマズの頭と尻尾を刺し通されたと言い伝えられています。地上に一部だけ現れていて、そのむかし、水戸光圀公が地中深くまで掘らたが、根元を見ることができなかったと言います

 

阪神淡路大震災15周年の記念日をむかえ、東京都は防災のPRに躍起になっています。あれだけの大災害が世界最大の都市で発生すると、その破壊の規模はあまりにも大きく、行政が対応できなくなることが容易に想像できます。建造物が大型化した現代では、神話時代の地震とはケタのちがう災害が予想されるのです。

 

想像できることをいくつか挙げてみます。ウィークデイの勤務時間中に大地震が起きると、交通断絶で400万人におよぶ帰宅困難者が街にあふれる。通信網がやられるのでこの人たちは電話もかけられない。木造住宅が密集している地域では、あちこちで火災が同時発生するので、消防作業が追いつかない。道路がふさがり、消防車も走れない。倒壊するマンションも数多く、倒壊しないまでも水道、電気、ガスなどのライフラインは全滅するでしょう。エレベーターが動かない、水がでない、数日でトイレも使えなくなる、玄関ドアは開かない、バールでこじ開けるとこんどは閉められなくなる。避難所に行こうにも避難所が足りない。仮設住宅の建設は数ヶ月待ちとなり、その間生活の場が確保できない。救急車も病院も不足し、ケガ人や病人の手当ても思うにまかせない。

 

イヤハヤたいへんなことになりそうです。ヤキモキしているのは行政機関ばかりで、市民にはあまり危機感はないようです。震災記念日といえば、関東では9月1日を、関西では1月17日を連想するようですが、両方を国民の祭日に指定するなど考えてはどうでしょう。災害に備える心構えを新たにする良い機会になると思うのですが。

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