「無声コマーシャル」の進出

たしか11月18日だったと思います。何気なくヤフーのトップページを開けると、そこにサントリーの缶コーヒー「ボス」の広告。ついに出ましたねー。飲食料の広告には向かないと言われてきたウェブ広告の世界に、若者向けとは言え缶コーヒーですよ。ウェブのバナー広告に知名度アップの効果はあるのかなど、地道な調査を行ってきたヤフーの努力が報われたというところでしょうか。

 

さらに、私が「やったね!」と思ったのはその広告表現手段でした。バナー広告では別段珍しくないのですが、それを宣伝巧者サントリーの「ボス」で見ると場違い感というか、意外な感じを禁じ得ないのでした。山手線や中央線のドア上に掲出されている「無声コマーシャル」。字幕、動画、静止画像を縦横に駆使してメッセージを伝えるアレです。

 

2000年にわれわれがスーパーマーケットの一店舗で店頭媒体実験を実施したときは、広告主に15秒のテレビコマーシャルを提供してもらったのでした。そして、一定の環境の下では音声があっても無くても、言葉によるメッセージを字幕で出す方式が求められることを実感したものでした。果たせるかな、コンビニのレジ、銀行のカウンター前など、いわゆる店頭サイネージの世界では字幕を多用した「無声コマーシャル」が主流を成しています。

 

動画でなければコマーシャルではないようなテレビの世界とは無縁に、別ルートで発達してきた「無声コマーシャル」は、ひょっとするとこれからはテレビの世界にも入り込んで行くかも知れません。というのは、テレビの世界で全盛を極めているバラエティー番組は、ラーメン屋さんや飲み屋さんの店頭の賑わし装置としてぴったりだからです。番組中のおしゃべりに耳を傾けている人などいませんが、ザワザワとした店内に何となく社会の窓が開いている、という仕掛けをバラエティー番組が提供しているのです。そして、そこに出てくるCMは「無声コマーシャル」がぴったり。受像機から離れたところで、ざわざわした環境下でラーメンを啜っているお客さんにしっかりメッセージが届くというわけです。

One Response to “「無声コマーシャル」の進出”

  1. cteisyoku より:

    ヤフーの広告見ています。
    山手線のドア上広告も見ています。
    二つの身近にある現状からテレビの無声コマーシャルへつながり変化していく発想にビックリすると共に「なるほど」と思わずうなってしまいました。