大きくなったら、困っている人を助けてあげれば良い

小学校2年生のときに溺れて死にそうになった現場を再訪しました。法事でふるさとの寺に詣で、ついでに子供のころ遊んだ浜辺に立ち寄ったのです。いま、まさに溺れたかのような臨場感に襲われ、感慨深いものがありました。あれが2年生の夏だったことも、現場で指折って確認できました。

遠浅の砂浜に、急に深くなったところができていて、ようやく犬掻きを覚えた小学生がそこにはまったのですが、どこかのおじさんが引き上げて助けてくれました。家族が気が付いて、集まって水を吐かせたり、大騒ぎしている間に、その命の恩人はどこかにいなくなったのです。

家族そろって家に帰る道すがら、「助けてくれた人がいなくなったけれど、どうすれば良いか」と姉がポツリと言いました。父が「この子が大きくなったら、困っている人を助けてあげれば良い」と答えたことが今でも記憶に残っています。

さて、あのときの恩返しは済んだでしょうか。どう見ても命の借りを返せないまま今日に至っているのではないか、と反省しきりです。毎月、銀行の口座から引き落としで、ユニセフに些少の寄付をしているほか、国連難民高等弁務官事務所にも不定期で送金しますが、どうもそんなことでお返しできないほどの大きな借りを背負っています。現場を訪ねて、その感じを強くしたものでした。

One Response to “大きくなったら、困っている人を助けてあげれば良い”

  1. yst より:

    とても大きく、永く、重みのある話に感動しました。
    写真も素敵です。